ムナクリ通信

宗像靖彦クリニックでは、健康生活に必要なあらゆる情報発信をしております。
もっと詳しくお聞きしたい事や、他に知りたい内容などございましたら、スタッフにお伝えください。

Case1-20202020.01.06

 A 39-year-old woman presented to my clinic three years ago because of 2-year-lasting widespread muscloskeletal pain. She had visited several medical institutions including rheumatology, gynecology, and psychiatry. Blood test revealed elevation of rheumatoid factor (264 IU/mL) with no elevation of C-reactive protein. She was recommended to receive the treatment as fibromyalgia accompanied with rheumatoid arthritis at the former hospital and introduced to my clinic.

 The physical examination showed sever tenderness on sacroiliac joints. There are no tender and swelling joints on fingers. Acetaminophen is partially effective for her back pain. Her symptoms are classified as inflammatory back pain. Computed tomography of sacroiliac joints showed vacumm phenomenon(①), erosion(②), and osteophyte(③). These are inappropriate findings for her age. These findings suggested the presence of sacroiliitis and/or spondyloarthtitis. She was not able to take acetaminophen continuously because of gastric adverse effects. She was treated with tramadol hydrochloride to reduce pain.

 Severe diarrhea manifested itself two months ago. Total colonoscopy was performed and a diagnosis of ulcerative colitis was made. She is now treated with prednisolone and mesalazine. The widespread muscloskeletal pain including back pain is prominently relieved. She is going to be treated with bDMARD for tapering-off prednisolone.

 In this case, the widespread muscloskeletal pain resembling fibromyalgia was appeared five years prior to the intestinal symptoms of ulcerative colitis. However, inflammatory back pain and age-inappropriate findings at sacroiliac joints were observed at almost same time of onset of the disease. Sacroiliitis and/or spondyloarthritis may predict the latent ulcerative colitis.

【Key Words】

健康寿命120歳プロジェクト<農業編>2019.09.20

 兼好法師曰く、「人間として生まれてどうしても必要なものは、食・衣・住・薬である」(徒然草第123段)。少子高齢化による社会構造変化を余儀なくされ、我々は「どうしても必要なもの(止む事を得ずして営む所)」を真剣に考え、真摯に生きる道に復さなければなりません。「薬」にたずさわり、人とかかわる業態を営む医療法人としては、「食」に関心を寄せざるを得ません。

 我が国の食糧自給率はカロリーベースで37%、しかも年々低下してきています。他国ではアメリカ130%、ドイツ95%、フランス127%で自給自足が可能です。そしてこれらの諸国では、自給率の低下はありません。農業は国力維持・拡大に必要な戦略産業であり、しっかりとした政策がとられているのです。我が国では農業従事者の減少、高齢化などにより耕作放棄地も増加してきています。日本の行政は民間が事業モデルを作り、農業政策が提案されることを待っています。我々医療人は食糧自給問題に関心を持ち、かかわってゆくべき立場にあると確信しています。我々の手で成せることは成してゆきたいと思います。総志会は、「モークシャタウン計画」の一環として法人施設内での食料自給率100%を目指しています。

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リウマチの治療費は高い?2019.07.26

リウマチの治療費は高い?

 遺伝子組み換え技術の進歩によって、関節リウマチの炎症を引き起こす炎症蛋白を直接的に抑え込む生物学的製剤が開発されました。これによって、関節リウマチ治療は飛躍的に進歩しました。しかし、気になるのはそのお値段。決して安くはありません。

 関節リウマチ治療の目標は病気の勢いを完全に抑え込んで、進行を止め、可能であれば、治療をやめても再発しないことです。実際に治療をやめても関節リウマチが悪化したり、再発したりしないようにすることが本当にできるのでしょうか?
残念ながら、この質問に対しての答えはまだ出ていません。しかし、生物学的製剤の登場によって実際に治療をやめても悪化したり再発したりしない患者さんもたくさん見られるようになりました。

 関節リウマチの治療をやめても関節リウマチが悪化したり再発したりしない患者さんの大半に共通することは、「関節リウマチを早く発見し、早くから生物学的製剤の治療をした」ということです。関節リウマチの治療が不十分だと、合併症の併発や寿命にも影響が出ることを考えれば、生物学的製剤による治療費は高額ですが、メリットが大きいのも事実のようです。

 当院が参加しているNPO法人トータルケアの調べによると、生物学的製剤で治療を受けている患者さんでは、生物学的製剤による治療効果が確定し、治療効果が実感できると、治療継続にあたって、生物学的製剤による治療費の要素は問題ではなくなってくるといった成績が出ています(図1)。決して安くはない関節リウマチの治療費用ですが、治療を開始してその効果が実感できて日常生活の快適さが増すことで、治療費用以上の満足感が得られることを裏付けているものと解釈できます。

図1

 では、実際の治療費はどうなっているのでしょうか?2014年4月現在での一ヶ月にかかるおおよそのお薬代を図2に示します。この金額は医療保険適応済みの金額で、実際に患者さんにお支払いいただくお薬代です。生物学的製剤の場合(図2-2)、どの製剤も年間おおよそ50万円(3割負担の場合)・15万円(1割負担の場合)程度となります。この負担は家計にとってかなりの出費だと思います。

図2
図2

しかし、図1に示したように、生物学的製剤使用前は、家計への負担を配慮して、生物学的製剤の半量投与から開始された患者さんたちの大半は更なる効果を期待して、通常投与を希望されている実態があります。このことは、生物学的製剤の効果が実感できると、生活の質が向上し、生産性も増大することから家計への負担を克服できるようになるのではないかと思われます。

 日本の医療制度の中では医療費そのものが低価格に抑えられていることから、生物学的製剤の費用負担は突出して高額と見られがちですが、十分な費用対効果を望むことのできる治療方法であることを考えれば、決して高い治療手段とは言えないのではないかと考えられます。

当院のリウマチの治療についてはこちら

診断・治療が難しい患者さん2019.07.26

からだの痛みを伴う様々な病気があります。
当院にも、原因不明のからだの痛みに悩んでいる多くの患者さんが受診されます。
このような患者さんの多くは、からだの痛みだけでなく、多彩な合併症(呼吸器・消化器・皮膚などの症状)を有することが多いようです。
医学書に記載されている病気の分類にはあてはまらない患者さんも数多くいらっしゃいます。

当院では、苦しむ患者さんに対して、迅速な診断と有効な治療を提供することができるよう連携医療機関の先生方や関係各機関の方々と共に、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

からだの痛みなど多彩な症状があるにもかかわらず、これまでに複数の医療機関を受診しても診断がつかず、治療効果が得られていない患者さんへの診療指針を、今後、全力でまとめ上げてゆきたいと思います。

当院との連携する医療機関様ご紹介

関節の痛みを伴う腸の炎症2019.07.09

「潰瘍性大腸炎」という病気があります。腸内細菌の異常が原因で発生すると考えられています。

通常は消化器科で診療を受けますが、当院で診ている患者さんにも発生することがわかってきました。

 現在通院中の患者さんで、リウマチ・膠原病・慢性疼痛として治療していた患者さん8名が、経過観察中に「潰瘍性大腸炎」が新たに判明しています。

 患者さんのプロファイルです。

 平均年齢:50.8歳

*潰瘍性大腸炎の発症は20~50歳と考えられていますので、当院の患者さんは遅発型と考えられます。

 男女比:男性3名・女性5名

  *潰瘍性大腸炎の発症に性差はないと言われています。

 当院で治療中の病名:関節リウマチ3名・脊椎関節炎2名・強皮症1名・ベーチェット病1名・線維筋痛症1名

 

すべての患者さんがレントゲン検査で「仙腸関節炎」が確認されており、Grade(数字が多いほど重度)の内訳は次の通りです。

Grade1:3名

Grade2:3名

Grade3:2名

Grade4:0名:当院でGrade4を呈する患者さんの多くは、「強直性脊椎炎」の患者さんです。

 

「潰瘍性大腸炎」の患者さんの中には、関節症状や痛みが先行して、後から下血などの消化器症状があらわれてくる方もいらっしゃるようです。

 

さらに興味深いことに、5名(53%)の患者さんにアレルギー性疾患(花粉症などのI型アレルギーやアトピー性皮膚炎)が合併していました。

 アレルギー性疾患の原因の一つとして、腸内細菌異常が推測されています。

「関節などの痛み」「潰瘍性大腸炎」「アレルギー」を結びつける共通要素として「腸内細菌異常」があるのかもしれません。

「関節などの痛み」が先行する患者さんが「潰瘍性大腸炎」を発症する原因は、一般的な「潰瘍性大腸炎」の患者さんの原因と異なるのかもしれません。

そして、原因の一部にはアレルギーが関与するのかもしれません。

更に追及する必要のある重要なテーマと考えています。

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