ムナクリ通信

病気いろいろのムナクリ通信一覧

宗像靖彦クリニックでは、健康生活に必要なあらゆる情報発信をしております。
もっと詳しくお聞きしたい事や、他に知りたい内容などございましたら、スタッフにお伝えください。

病気いろいろ診断・治療が難しい患者さん2019.07.26

からだの痛みを伴う様々な病気があります。
当院にも、原因不明のからだの痛みに悩んでいる多くの患者さんが受診されます。
このような患者さんの多くは、からだの痛みだけでなく、多彩な合併症(呼吸器・消化器・皮膚などの症状)を有することが多いようです。
医学書に記載されている病気の分類にはあてはまらない患者さんも数多くいらっしゃいます。

当院では、苦しむ患者さんに対して、迅速な診断と有効な治療を提供することができるよう連携医療機関の先生方や関係各機関の方々と共に、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

からだの痛みなど多彩な症状があるにもかかわらず、これまでに複数の医療機関を受診しても診断がつかず、治療効果が得られていない患者さんへの診療指針を、今後、全力でまとめ上げてゆきたいと思います。

当院との連携する医療機関様ご紹介

病気いろいろ関節の痛みを伴う腸の炎症2019.07.09

「潰瘍性大腸炎」という病気があります。腸内細菌の異常が原因で発生すると考えられています。

通常は消化器科で診療を受けますが、当院で診ている患者さんにも発生することがわかってきました。

 現在通院中の患者さんで、リウマチ・膠原病・慢性疼痛として治療していた患者さん8名が、経過観察中に「潰瘍性大腸炎」が新たに判明しています。

 患者さんのプロファイルです。

 平均年齢:50.8歳

*潰瘍性大腸炎の発症は20~50歳と考えられていますので、当院の患者さんは遅発型と考えられます。

 男女比:男性3名・女性5名

  *潰瘍性大腸炎の発症に性差はないと言われています。

 当院で治療中の病名:関節リウマチ3名・脊椎関節炎2名・強皮症1名・ベーチェット病1名・線維筋痛症1名

 

すべての患者さんがレントゲン検査で「仙腸関節炎」が確認されており、Grade(数字が多いほど重度)の内訳は次の通りです。

Grade1:3名

Grade2:3名

Grade3:2名

Grade4:0名:当院でGrade4を呈する患者さんの多くは、「強直性脊椎炎」の患者さんです。

 

「潰瘍性大腸炎」の患者さんの中には、関節症状や痛みが先行して、後から下血などの消化器症状があらわれてくる方もいらっしゃるようです。

 

さらに興味深いことに、5名(53%)の患者さんにアレルギー性疾患(花粉症などのI型アレルギーやアトピー性皮膚炎)が合併していました。

 アレルギー性疾患の原因の一つとして、腸内細菌異常が推測されています。

「関節などの痛み」「潰瘍性大腸炎」「アレルギー」を結びつける共通要素として「腸内細菌異常」があるのかもしれません。

「関節などの痛み」が先行する患者さんが「潰瘍性大腸炎」を発症する原因は、一般的な「潰瘍性大腸炎」の患者さんの原因と異なるのかもしれません。

そして、原因の一部にはアレルギーが関与するのかもしれません。

更に追及する必要のある重要なテーマと考えています。

病気いろいろ「腕立て伏せ」と心臓病2019.02.28

「腕立て伏せ」と心臓病

おもしろいレポートを見つけました。

腕立て伏せが40回以上できる中年男性は、10回未満しかできない同世代の男性と比べて心血管疾患(狭心症・心筋梗塞・心不全・心臓突然死)のリスクが低い!

米国のJustin Yang氏の報告(JAMA Netw Open)です。調査の対象となったのは、米国の18歳以上の男性消防士(平均年齢39.6歳)1,104名で、職業上、身体活動レベルの高い中年男性と言えます。この調査結果によると、腕立て伏せが40回以上できる男性消防士は、10回未満しかできない同世代の男性消防士と比べて、心血管疾患リスクがなんと96%も低いことがわかったそうです。

健康の維持には体力が必要ということです。

(Medical Tribune記事より)

病気いろいろCONUT(controlling nutritional status)栄養指数について2019.02.12

煙草の有害性

Controlling Nutritional Status(CONUT)指数という栄養状態を評価する指数があります。

これは、スペインの研究者が発表した栄養状態の評価方法です。食道癌手術後のリスク評価などで定評があり、現在では術後リスク評価以外にも幅広く応用されているようです。

様々な医療機関においては入院患者さんの栄養状態を把握する指数としても用いられています。

CONUT指数は、患者さんの血液検査値(アルブミン値、総コレステロール値、リンパ球数)を指数化して算出されます。これらの数値はそれぞれ、蛋白代謝、脂質代謝、免疫能を反映していますので、患者さんのトータルな健康状態を反映すると考えることもできます。当院で診察している炎症性疾患(関節リウマチや膠原病、感染症など)の患者さんでも、病態の重篤化に従って、CONUT指数は悪化します。アルブミン値の低下は、治療薬の効果・副作用にも関与します。リンパ球数は病気の勢いや感染症の合併などに関与しているようです。当院では往診で患者さんを診察する際に、CONUT指数を参考にしています。以前、CONUT指数は悪いものの、一見安定していた患者さんが、急に病態変化を起こしたことがありました。一般診察では把握しきれない体の変調をつかむための参考となる可能性があります。一方、病態が不安定で体調の悪い患者さんでも、CONUT指数が改善するとともに、病態が安定化してきたというケースもありました。CONUT指数が変動しやすい、高齢者や炎症性疾患を持っている患者さんには、CONUT指数に良い結果をもたらす治療方針(薬剤の選択や栄養管理指導など)を立ててゆくように心がけています。

病気いろいろ煙草の有害性2018.12.11

煙草の有害性

喫煙が関節リウマチにとって最大のリスクであることはすでにご紹介していましたが、健康な生活にはやはり有害であることがあらゆる分野で証明されています。煙草は「百害あって一利なし」です。

喫煙に関する興味ある研究結果が報告されましたのでご紹介します。

①米国からの報告です。バーやレストラン、職場など多くの人が集まる場所を全面禁煙とする「スモークフリー政策」が導入された地域の非喫煙者では、そうでない地域の非喫煙者と比べて収縮期血圧値の低下が認められたそうです。つまり、「スモークフリー政策」が導入されていない地域では非喫煙者でも受動喫煙によって血圧が上昇していたということです。

②東北大学国際歯科保健学分野(相田准教授)からの報告です。約9万6千人を20年間追跡調査した結果、男性で一日20本以上吸う喫煙者は、非喫煙者に比して交通事故の死亡リスクが1.54倍高くなるとのことです(女性には喫煙者人数が少なかったために統計解析データが出ませんでした)。

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