院長日記のムナクリ通信一覧
宗像靖彦クリニックでは、健康生活に必要なあらゆる情報発信をしております。
もっと詳しくお聞きしたい事や、他に知りたい内容などございましたら、スタッフにお伝えください。
院長日記新型コロナウイルスワクチン(コミナティ)の副作用について2021.06.09
医療法人総志会職員を対象としたコミナティ接種が終了しました。
副作用発現には、以下の特徴がありました。
① 接種部位反応(痛み・腫れ)は全例で発現する。
② 一回目接種より二回目接種に副作用発現率が高い。
③ ワクチンの副作用は女性に多い。
④ 一回目接種で副作用が発現すると二回目接種でも同様の副作用が発現する。
⑤ 副作用としては発熱・頭痛・倦怠感・関節痛が多い。
⑥ 副作用は接種後二日以内に発現することが多い。
⑦ 40歳以下女性の二回目接種での副作用発現率が高い
現在進められている高齢者へのワクチン接種では、副作用の発現率は高くないと思いますが、今後、接種対象となる若い方々への接種では副作用に注意をして接種を進める必要があります。かかりつけ医を持たない方、就労者への集団接種の機会が多くなると思います。副作用への対応ができるかどうかが課題となるでしょう。
医療法人総志会では今後ワクチン接種で副作用の出やすい方々への安全な接種推進をお手伝いすべく、各方面と現在調整を行っております。
院長日記新型コロナウイルスワクチン(コミナティ)の効果について2021.05.19
仙台市では、市民への新型コロナウイルスワクチン投与が開始されようとしています。
コミナティは3週間の間隔を空けて2回の接種が必要です。
ワクチン効果(抗体誘導)はいつ頃出て来るのでしょうか?
ワクチン投与後一週間毎に、抗体検査のモニタリングを行ってみました。
一回目接種後から二回目接種までの間、抗COVID-19抗体はIgM・IgGともに陰性でした。
二回目の接種後一週間でIgM弱陽性・IgG陽性になっていました。
抗体検査の検査感度を考慮する必要もあるのですが、私の場合、コミナティの二回目接種直後からIgM型抗体の誘導がおこり、間髪置かずIgG型抗体へのクラススイッチが起こっていったものと考えられます。
二回目接種後の抗体検出が早かったことから、一回目接種後には抗COVID-19抗体産生の準備は整っていたものと予想されます。
IgG型抗体産生細胞の一部はメモリー(記憶)細胞として長く体内に残って、実際のウイルスが体に侵入した際に、すかさず抗体を産生して侵入したウイルスを中和する働きをしてくれます。
変異型ウイルスが侵入した際にも、このメモリー細胞内で抗体遺伝子に変異が誘導され、変異ウイルスに対抗できる抗体のプロトタイプになってくれます。
免疫の記憶を長続きさせるためにはどうしたらよいのでしょうか?
実は、抗原暴露(ウイルスとの接触)が必要なのです。
ウイルスに対する中和抗体を獲得した後は、持続的に少量のウイルスに暴露しても問題はありません。
アメリカやイスラエルなど、ワクチン接種が進んだ国々でワクチンパスポート(接種証明)を発行し、マスク装着解除などの措置をとることができるのはこのためです。
ワクチン接種で必要なことは、できるだけ多くの人に、時間をかけずに接種を行うことなのです。
院長日記新型コロナウイルスCOVID-19のワクチン接種を推奨します2021.04.21
昨日、当院では新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン接種のシュミレーションを行いました。
いよいよ一般市民向けのワクチン接種が開始されます。
当院では、以下の理由により、可能な限り多くの市民が接種するよう推奨します。
①今回接種されるRNAワクチンでは、有効率95%と非常に高い有効率が示されていること。
インフルエンザワクチンの有効率はおおよそ20~30%とされています。
②変異型ウイルスが検出され始めていることから、早いうちに集団免疫を獲得する必要があること。
集団免疫の獲得が遅れれば遅れるほど変異型ウイルスの出現確率が高まります。
③ワクチン接種後副作用の多くが医療機関で対応可能であること。
ウイルスも人類と同様に、地球上に生息する生物です。
地球環境も新型ウイルスと人類とが共存するための均衡状態に入ってゆくことになります。
新型コロナウイルスCOVID-19はエボラ出血熱ウイルスのような絶対的致死性ウイルスではありません。
感染しないことを前提にした対策より、共生を前提とした、ワクチンによる集団免疫獲得は自然の摂理にかなった人類の知恵と思われます。
多くの市民がワクチン接種に協力することによって、このパンデミックが終息してゆくことでしょう。
仙台市の市民向け接種については、現在、接種医療機関(かかりつけ医)での接種訓練がスタートしました。
接種準備が完了した後に、皆さんへの接種が開始される時期について、仙台市より案内があります。もうしばらくお待ちください。
仙台市から接種開始許可が発令され次第、当院ではかかりつけ患者さんへの接種を速やかに開始します。
集団接種にも協力してゆく方針です。
ワクチン接種は、いかに早く多くの市民に接種できるかといったスピードが最も重要です。
院長日記新型コロナウイルスCOVID-19感染拡大と社会情勢(2020.4.13掲載記事:再掲載)2021.04.20
緊急事態宣言以降、社会がざわついています。当院を受診される患者さんの一部にも、どんな症状もコロナウイルス感染に結び付けて考えるという傾向がみられるようになってきています。熱っぽかったらコロナ、咳をしたらコロナ、だるかったらコロナ。健康意識の高まりとも言えますが、過剰な思い込みは、パニックの連鎖を引き起こします。
腎盂炎で微熱のあった患者さんが、家庭では家族から「コロナだから近寄るな」と言われ、涙ながらに診察を受けるケースもありました。コロナウイルスに感染してしまった患者さんやその家族が不当な差別を受けるなどの報道も耳にするようになりました。
今回の新型コロナウイルスCOVID-19は人類が初めて遭遇したウイルスで、だれも免疫(抗体)を持っていません。ここが、季節性インフルエンザなどいわゆる風邪との違いです。抗体を持っていない人は、だれもが感染する可能性があるのです。一方、回復した患者さんはウイルスに対する免疫を獲得しているので、普通の生活に戻ることができるのです。
現在、日本で行われている自粛要請は、国民一人一人がウイルスに感染しないようにすることではありません。感染が一気に拡大して、その中に一定の割合で含まれる重症者が急増することを防ぐ目的でなされています。公衆衛生学的視点に基づく対策なのです。
個人個人の話としては、「今日は感染しないように注意しよう」、「昨日注意できたから今日も注意しよう」、もし感染してしまったら「栄養と休養をとって早く回復(免疫を獲得)しよう」、「回復したら、いつも通りに働こう」ということになります。
そして、思いやり(Compassion)の気持ちを大切にしましょう。
If you want others to be happy, practice compassion.
If you want to be happy, practice compassion.
ダライ・ラマの言葉です。病気で苦しむ人が健康になることは、社会の利益になるのです。すべては一つなのです。今回の新型コロナウイルスCOVID-19感染では日本より衛生状態、医療供給体制の悪い国の人たちが苦しんでいます。食糧難に陥る途上国が出てきています。これらの国で起きている出来事も私たちは注視する必要があります。食料を輸入に頼る日本は世界の多くの国々に支えられているからです。パンデミックに直面してしまった人類は、協力し合わなければなりません。すべては一つなのです。一国主義が台頭しないように、個人主義に陥らないように、私たちは賢く、理性的にふるまわなければなりません。
日々増加する感染者数やクラスターの話題や医療崩壊のニュースも大事ですが、パンデミックを冷静に受け止めて考察する必要があります。ハンガリーでは、新型コロナウイルス感染拡大への対策法が実施されました。無期限の非常事態と首相への権力集中、独裁です。過去にもスペイン風邪のパンデミック後にナチスが台頭し、第二次世界大戦への突入していった歴史があります。今回の新型コロナウイルスCOVID-19感染拡大は、人々の理性を奪い、社会秩序を危うくする大きな試練です。人類は試されているのかもしれません。
新型コロナウイルスCOVID-19感染症は、過半の人々が抗体を獲得した時点で終息となります。重症化した患者さんは、成人スチル病や血球貪食症候群に似た高サイトカイン血症を呈します。体内で異常に激しい免疫反応が起こっているようです。これまでに私たち医師が遭遇し、治療経験を持つ類似病態があるのです。特効薬の開発やワクチンの開発に目途がつくまで、何とか重症状態を回避する治療を講じてゆくことは可能なのではないかと思います。
一人一人が、思いやりの心を持ち、すべては一つであることを忘れなければ、人類は進化してゆくことでしょう。
院長日記新型コロナウイルスの感染経路2021.03.29
新型コロナウイルスの主な感染経路は飛沫感染による、「人ー人」感染です。このため、三密(密接・密集・密閉)を避けるようにと注意されています。皆さんは、すでに十分に注意し、三密を避けていると思います。しかしながら、最近、宮城県では新型コロナウイルスの感染者が急増しています。当院でも数名の患者さんを診る機会がありました。すべての患者さんは、十分に注意して三密を避けていました。それでも感染してしまったわけです。
そこで、「人ー人」感染以外の感染経路を疑わざるを得ないと考えています。接触感染による、「物ー人」感染です。新型コロナウイルスは物に付着した後も24時間以上生きて続けることがわかっています。物に触ったときに、手指に付着したウイルスは、手指で顔を触ることを介して、眼・鼻・口の粘膜から体内に侵入してしまいます。
不特定多数の人が触れる商品棚の袋商品(食べ物)などは感染源となり得ます。お店で袋商品を購入したとして、多くの人は帰宅後手を洗って、商品の包装を開いて、口に入れると思います。しかし、袋にウイルスが付着していたとしたら、包装を開いた後にもう一度手を洗わなければなりません。手指はウイルスに汚染されているのです。特に、ポテトチップスなどの袋菓子は、袋を持ちながら食べることもあると思います。袋に入った食べ物は、自宅にあるきれいな容器に移した方が良いと思います。そして、袋を捨ててから、手を洗って食べるようにしてください。