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リウマチ関節リウマチと喫煙について(2)2018.01.03
関節リウマチの発症と喫煙について、ちょっと詳しく説明しましょう。
関節リウマチ診断の指標で抗CCP抗体という検査があります。これは抗環状シトルリン化抗体というたんぱく質です。この抗体は関節リウマチとの特異度が90%以上を示す検査で、特に関節リウマチの関節破壊の重症度とかかわるたんぱく質と考えられています。つまり、抗CCP抗体陽性の方は、90%以上の確度で関節リウマチに罹患していると言っても過言ではなく、しかも、関節破壊の激しい、質の悪い関節リウマチを患っていることが推定されるのです。
一方、関節リウマチではその発症に白血球の型(HLA)が関与していると言われています。赤血球の型は、ABO式の型分類がありますが、白血球にもHLAと言われる型が分類されています。関節リウマチではHLA-DRたんぱくを構成するアミノ酸に共通の配列が検出される傾向があると言われ、この共通の配列がシェアドエピトープと称されています。
喫煙犯人説における有力な仮説では、たばこの毒性により肺内でシトルリン化たんぱくが出現し、抗CCP抗体が誘導されるとされています。実際、HLA-DRにシェアドエピトープを持っている患者さんでは、喫煙者で抗CCP抗体陽性者が多く、なおかつ重症例が多いことが証明されています。
関節リウマチのすべてが喫煙で発症するということではありませんが、喫煙が体内で関節リウマチ発症の中心的な役割を担っていることはほぼ確定的です。このようなたとえ話がわかりやすいかも知れません。シェアードエピトープを持っている方は、「関節リウマチ号という自家用車」を持っているのですが、車は持っているだけでは走りません。喫煙という「エンジンキー」を入れることによって、抗CCP抗体という「アクセルペダル」を踏み、さらに喫煙でアクセルペダルを強く踏み込むことになるのです。かくして関節リウマチ号はトップスピードで走行してゆくのです。
関節リウマチに罹患している、喫煙患者さんは、即刻、喫煙をやめなければなりません。これは自分だけの問題ではありません。副流煙により他人の自家用車のエンジンキーを回してしまっている可能性があるのです。関節リウマチにおける喫煙は医学的問題を超えて、人としての理性や道徳性といった人間性の問題なのです。
Yasuhiko MUNAKATA M.D., Ph.D.
医療法人総志会理事長
宗像靖彦クリニック院長
昭和63年 東北大学医学部卒業
平成02年 東北大学医学部大学院に進学(リウマチ膠原病の研究を行う)
平成08年~ 米国ハーバードメディカルスクール・ダナファーバー癌研究所に留学
平成10年~ 東北大学病院 血液免疫科にて臨床・研究・教育に従事
平成17年~ 医療法人美瑛 理事長就任
平成25年 宗像靖彦クリニック開設
平成26年 医療法人総志会 理事長就任