宗像靖彦クリニックでは、健康生活に必要なあらゆる情報発信をしております。
もっと詳しくお聞きしたい事や、他に知りたい内容などございましたら、スタッフにお伝えください。
病気いろいろマイヤーズカクテルについて2014.04.01

当院では、代替医療として「マイヤーズカクテル療法」を行っておりますが、「マイヤーズカクテルって何?」という質問をよくうかがいます。
米国の医師ジョン・マイヤーズは自分のもとに訪れる体調の悪い患者さんにビタミン・ミネラルを大量に含む「マイヤーズカクテル」の注射を行っていました。患者さんの状態に対しての満足度が向上し、その治療法が評判となりました。残念ながら、マイヤーズ先生のカクテル「レシピ」は先生の死後、不明となってしまいましたが、アラン・ガービー医師の調査研究によって「マイヤーズカクテル」が復活しました。現在、私たちが患者様に提供している「マイヤーズカクテル」はガービー先生のレシピに基づき、それぞれの施設で調整したものです。
マイヤーズカクテルにはビタミンB群・ビタミンC・マグネシウム・カルシウムが含まれています。ガービー先生はおおよそ15,000人の患者さんにマイヤーズカクテルを投与したとされております。患者さんの病態は、喘息、偏頭痛、全身疲労、線維筋痛症などの慢性疼痛、筋肉疲労や痙攣、風邪、花粉症、抑うつ状態などの精神不安定などだったようです。
マイヤーズカクテルの副作用の多くは、マグネシウムによる熱感、血圧低下です。しかし、これらの副作用は投与スピードの速い注射で生じます。当院では点滴でゆっくり投与しますので、副作用はほとんどありません。
マイヤーズカクテル療法の効果に関する評価はまだ定まっていないというのが現状です。線維筋痛症に対しての有効性では、有効とする報告もあれば有効性が示されなかったという報告もあります。少なくとも一部の患者さんに対しては好ましい効果が得られる可能性があると解釈することができるようです。
病気いろいろシェーグレン症候群について2014.01.01

涙が出にくくなったり、唾液が出にくくなるなどの乾燥症状が特徴の「シェーグレン症候群」はスウェーデンの眼科医ヘンリク・シェーグレンによって提唱されました。免疫異常が原因で起こる膠原病の一種です。
シェーグレン症候群の生命予後は比較的良好ですが、合併症が多いという特徴があります。当院にも多くの患者様がいらっしゃいます。当院で得られたシェーグレン症候群のプロファイルを提示します。一般人口に占めるシェーグレン症候群の有病率は0.02%程度と言われています。
平成25年1月2日から平成26年7月13日までの解析結果です。解析対象となった全患者数は2650名です。
下図は当院受診患者様の疾病頻度です。シェーグレン症候群(SjS)の患者様は290名でした。シェーグレン症候群は関節リウマチ(RA)や橋本病(甲状腺機能低下症)との合併が多いのですが、RAとの合併は244名でSjSの患者様の84%、RA患者様の13%にSjSが合併しているようでした。RAへのSjS合併はおおよそ20%と言われていますので、当院の成績も妥当なプロファイルのようです。
シェーグレン症候群では、内臓に病的なリンパ球浸潤を来すことによって、間質性肺炎、間質性腎炎、原発性胆汁性肝硬変症、悪性リンパ腫などの合併症をおこすことが知られています。シェーグレン症候群におけるそれぞれの病気の合併率を調べました。
当院では、間質性腎炎の合併が特に多いことがわかりました。シェーグレン症候群患者様の腎生検では約50%に間質性腎炎の所見が認められるとの報告もあり、シェーグレン症候群への間質性腎炎合併はこれまでの報告よりも高い可能性があります。これによれば、当院の成績の方が現実的のように思います。
間質性腎炎は発熱・発疹などの症状を呈しますが、尿一般検査では大きな異常は検出されないことが多いため、症状から障害臓器(腎臓)を連想することが難しく、診断が難しいのではないかと考えられます。間質性腎炎は薬剤誘発性(薬の副作用)であることも多いため、シェーグレン症候群の患者様への薬剤処方には注意が必要です。特に消炎鎮痛剤・解熱剤の連続服用や長期服用は可能な限り避けた方が良いと考えられます。
バレエバレエの医学2013.10.01

【バレエの身体負荷について】
人類は進化した結果、直立歩行を獲得しました。直立歩行は、人体の構造上、骨盤に多大な負荷のかかる奇跡的な能力なのです。重い頭部から重力方向に脊椎を介して骨盤に押し下げの負荷がかかる一方、両下肢からは反重力方向に股関節を介して骨盤に押し上げの負荷がかかります。また内臓を保持させるための骨盤底筋群には常に大きなテンションがかかっています。骨盤付近には直立歩行という、反重力行為に起因するストレスが常にかかっています。そのため、スポーツなど直立を前提とした人体パフォーマンスには怪我や障害が多いのです。
バレエはどうでしょうか?音楽に合わせて、多彩な運動を行うバレエは、最高に進化した人間にしか為しえない、人類史上最も進化した身体パフォーマンスなのです。ステージ上で華麗に舞うダンサーを見ると信じられないくらいの柔軟性、跳躍力などが必要とされるイメージが思い浮かびます。その能力の原点はどこにあるのでしょうか?コンテンポラリーダンス、モダンダンスなど、様々なジャンルの舞踊の原点はクラシックバレエの基礎訓練にあるのです。身体能力が高く、かつ表現力の優れた一流のダンサーはクラシックバレエの基礎も一流です。何故彼らが一流なのかと言えば、反重力行為を安全に遂行する能力を習得し、怪我や障害を克服する能力を持っているからなのです。
【クラシックバレエの基礎訓練について】
クラシックバレエの基礎トレーニングはストレッチトレーニングと骨盤を守るための筋力トレーニングの二つで構成されています。これは、直立歩行を前提とした発展運動を効率よく安全に行うための基礎レッスンでもあります。たとえば、太ももの内側の筋肉(内転筋)は、直立したり歩いたりするための筋肉ではないので、普段あまり使いません。しかし、バレエではこの内転筋が一番重要なので、真っ先にトレーニングの対象となります。股関節を介して骨盤に伝わる押し上げの力を効率よく分散するのがこの筋肉なのです。この筋肉を使うと姿勢が「がに股」っぽくなります。実はこのがに股、瞬発的に体全体を動かさなければならない時の構えの姿勢なのです。内転筋がうまく使えないと、俊敏な動きができないだけでなく、体を動かしたときにバランスが保てず転んでしまします。内転筋が上手に使えれば、このような障害が解消されます。バレエダンサーの姿勢が良いのは、このような骨盤保護のための筋力トレーニングを行っているからなのです。
私たちの日常生活を考えた時、何気なく行っている直立歩行が、健康維持の観点からは大変なリスクになっているのです。丈夫な体が健康生活の大前提です。クラシックバレエの基礎トレーニング、ストレッチと骨盤保護筋力強化は、元気な健康生活に大いに役立つものと考えられます。なぜなら、人類最大の反重力行為であるバレエパフォーマンスでの安全を担保するために編み出されたのがクラシックバレエの基礎トレーニングだから、
「クラシックバレエの基礎訓練」=「健康の獲得と維持」なのです。
→ 宗像靖彦クリニックでは、バレエダンサーの医学管理・コンサルテーションを行っております。
リウマチ関節リウマチは遺伝する?2013.07.01

患者さんからよく「関節リウマチは遺伝するのですか?」
という質問を受けます。
【関節リウマチ発症に関する遺伝子】
現在では関節リウマチの基礎研究が進み、少なくとも9個の遺伝子が、関節リウマチの発症に深くかかわっていることがわかってきました。これらの遺伝子は、いずれもリンパ球(免疫を担当する血液細胞)の機能に関わる遺伝子です。関節リウマチの患者さんでは、これらの遺伝子によってリンパ球の異常な活性化状態が引き起こされているようです。
しかし、このことは関節リウマチが遺伝病であることを意味しているものではありません。
【一卵性双生児の関節リウマチ発症確率】
一卵性双生児は遺伝子が100%一致していますので、関節リウマチが遺伝性の病気であれば、一卵性双生児間の関節リウマチ発症確率は100%になるはずです。しかし、一卵性双生児の関節リウマチ発症確率は20%前後と考えられています。一般の人口における関節リウマチ発症頻度が0.5%ですから、一卵性双生児での発症頻度は40倍のリスクがあることになります。関節リウマチ発症に遺伝的な背景があるのは確かのようです。
【関節リウマチの家族内発症確率】
スウェーデンの研究グループの発表では以下の報告がなされています。
1) 親が関節リウマチの場合の子供の関節リウマチ発症リスク:3.02倍
2) 兄弟姉妹が関節リウマチの場合の関節リウマチ発症リスク:4.64倍
3) 親と兄弟姉妹が関節リウマチの場合の関節リウマチ発症リスク:9.31倍
関節リウマチ発症のしやすさに遺伝的な要因があるのは確かのようですが、発症に関する要因の大部分は、感染症や喫煙などの環境要因なのです。
病気いろいろ病気でないような病気 骨粗鬆症2013.04.01

骨粗鬆症は癌などと違って、直接生死にかかわらないためあまり深刻にとりあげられることが無いように思います。骨粗鬆症であることが、生活上のどんなリスクをかかえるのでしょうか?
【骨粗鬆症の統計データ】
骨粗鬆症は以下のような全身性の不利益をはらんでいます。骨粗鬆症は決して看過することのできない病態なのです。
1) 骨粗鬆症の死亡リスク:3.5倍
2) 骨粗鬆症の心血管疾患のリスク:4.5倍
3) アルツハイマー型認知症と共通のリスク(エストロゲン低下)
4) 骨粗鬆症による大腿骨頚部骨折発症1年後の死亡率:10%
5) 骨粗鬆症による大腿骨頚部骨折発症5年後の死亡率:50%