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バレエバレエの医学2013.10.01
【バレエの身体負荷について】
人類は進化した結果、直立歩行を獲得しました。直立歩行は、人体の構造上、骨盤に多大な負荷のかかる奇跡的な能力なのです。重い頭部から重力方向に脊椎を介して骨盤に押し下げの負荷がかかる一方、両下肢からは反重力方向に股関節を介して骨盤に押し上げの負荷がかかります。また内臓を保持させるための骨盤底筋群には常に大きなテンションがかかっています。骨盤付近には直立歩行という、反重力行為に起因するストレスが常にかかっています。そのため、スポーツなど直立を前提とした人体パフォーマンスには怪我や障害が多いのです。
バレエはどうでしょうか?音楽に合わせて、多彩な運動を行うバレエは、最高に進化した人間にしか為しえない、人類史上最も進化した身体パフォーマンスなのです。ステージ上で華麗に舞うダンサーを見ると信じられないくらいの柔軟性、跳躍力などが必要とされるイメージが思い浮かびます。その能力の原点はどこにあるのでしょうか?コンテンポラリーダンス、モダンダンスなど、様々なジャンルの舞踊の原点はクラシックバレエの基礎訓練にあるのです。身体能力が高く、かつ表現力の優れた一流のダンサーはクラシックバレエの基礎も一流です。何故彼らが一流なのかと言えば、反重力行為を安全に遂行する能力を習得し、怪我や障害を克服する能力を持っているからなのです。
【クラシックバレエの基礎訓練について】
クラシックバレエの基礎トレーニングはストレッチトレーニングと骨盤を守るための筋力トレーニングの二つで構成されています。これは、直立歩行を前提とした発展運動を効率よく安全に行うための基礎レッスンでもあります。たとえば、太ももの内側の筋肉(内転筋)は、直立したり歩いたりするための筋肉ではないので、普段あまり使いません。しかし、バレエではこの内転筋が一番重要なので、真っ先にトレーニングの対象となります。股関節を介して骨盤に伝わる押し上げの力を効率よく分散するのがこの筋肉なのです。この筋肉を使うと姿勢が「がに股」っぽくなります。実はこのがに股、瞬発的に体全体を動かさなければならない時の構えの姿勢なのです。内転筋がうまく使えないと、俊敏な動きができないだけでなく、体を動かしたときにバランスが保てず転んでしまします。内転筋が上手に使えれば、このような障害が解消されます。バレエダンサーの姿勢が良いのは、このような骨盤保護のための筋力トレーニングを行っているからなのです。
私たちの日常生活を考えた時、何気なく行っている直立歩行が、健康維持の観点からは大変なリスクになっているのです。丈夫な体が健康生活の大前提です。クラシックバレエの基礎トレーニング、ストレッチと骨盤保護筋力強化は、元気な健康生活に大いに役立つものと考えられます。なぜなら、人類最大の反重力行為であるバレエパフォーマンスでの安全を担保するために編み出されたのがクラシックバレエの基礎トレーニングだから、
「クラシックバレエの基礎訓練」=「健康の獲得と維持」なのです。
→ 宗像靖彦クリニックでは、バレエダンサーの医学管理・コンサルテーションを行っております。
Yasuhiko MUNAKATA M.D., Ph.D.
医療法人総志会理事長
宗像靖彦クリニック院長
昭和63年 東北大学医学部卒業
平成02年 東北大学医学部大学院に進学(リウマチ膠原病の研究を行う)
平成08年~ 米国ハーバードメディカルスクール・ダナファーバー癌研究所に留学
平成10年~ 東北大学病院 血液免疫科にて臨床・研究・教育に従事
平成17年~ 医療法人美瑛 理事長就任
平成25年 宗像靖彦クリニック開設
平成26年 医療法人総志会 理事長就任