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病気いろいろシェーグレン症候群について2014.01.01
涙が出にくくなったり、唾液が出にくくなるなどの乾燥症状が特徴の「シェーグレン症候群」はスウェーデンの眼科医ヘンリク・シェーグレンによって提唱されました。免疫異常が原因で起こる膠原病の一種です。
シェーグレン症候群の生命予後は比較的良好ですが、合併症が多いという特徴があります。当院にも多くの患者様がいらっしゃいます。当院で得られたシェーグレン症候群のプロファイルを提示します。一般人口に占めるシェーグレン症候群の有病率は0.02%程度と言われています。
平成25年1月2日から平成26年7月13日までの解析結果です。解析対象となった全患者数は2650名です。
下図は当院受診患者様の疾病頻度です。シェーグレン症候群(SjS)の患者様は290名でした。シェーグレン症候群は関節リウマチ(RA)や橋本病(甲状腺機能低下症)との合併が多いのですが、RAとの合併は244名でSjSの患者様の84%、RA患者様の13%にSjSが合併しているようでした。RAへのSjS合併はおおよそ20%と言われていますので、当院の成績も妥当なプロファイルのようです。
シェーグレン症候群では、内臓に病的なリンパ球浸潤を来すことによって、間質性肺炎、間質性腎炎、原発性胆汁性肝硬変症、悪性リンパ腫などの合併症をおこすことが知られています。シェーグレン症候群におけるそれぞれの病気の合併率を調べました。
当院では、間質性腎炎の合併が特に多いことがわかりました。シェーグレン症候群患者様の腎生検では約50%に間質性腎炎の所見が認められるとの報告もあり、シェーグレン症候群への間質性腎炎合併はこれまでの報告よりも高い可能性があります。これによれば、当院の成績の方が現実的のように思います。
間質性腎炎は発熱・発疹などの症状を呈しますが、尿一般検査では大きな異常は検出されないことが多いため、症状から障害臓器(腎臓)を連想することが難しく、診断が難しいのではないかと考えられます。間質性腎炎は薬剤誘発性(薬の副作用)であることも多いため、シェーグレン症候群の患者様への薬剤処方には注意が必要です。特に消炎鎮痛剤・解熱剤の連続服用や長期服用は可能な限り避けた方が良いと考えられます。
Yasuhiko MUNAKATA M.D., Ph.D.
医療法人総志会理事長
宗像靖彦クリニック院長
昭和63年 東北大学医学部卒業
平成02年 東北大学医学部大学院に進学(リウマチ膠原病の研究を行う)
平成08年~ 米国ハーバードメディカルスクール・ダナファーバー癌研究所に留学
平成10年~ 東北大学病院 血液免疫科にて臨床・研究・教育に従事
平成17年~ 医療法人美瑛 理事長就任
平成25年 宗像靖彦クリニック開設
平成26年 医療法人総志会 理事長就任