ムナクリ通信

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関節リウマチと妊娠について2018.01.04

関節リウマチの発見が早くなるにつれて、「妊娠」について考慮しなければならないことが多くなってきています。
一般的に関節リウマチは妊娠による免疫寛容(プロゲステロンによる抗炎症作用などによると考えられています)で改善の傾向をとることが多いと考えられています。しかし、病勢が強いままで妊娠しても大きな改善が得られるわけではありません。また、出産後は悪化する可能性が高いことから、妊娠前の十分な病勢コントロールが大切です。

関節リウマチの病勢コントロールには治療薬が必須ですが、「妊娠」に際しては、治療薬の調節が必要です。しかし、ここで難しいのは、治療薬を調節するための絶対的な根拠が無いことです。関節リウマチ治療薬の母体や胎児に対する有害事象は、動物実験の成績に基づいた判断と、これまでの偶発的な出来事(たまたま該当薬剤を服用したまま妊娠してしまったなど)の積み重ねから得られた少数例の統計成績から判断されるため、必ずしも絶対事実ではありません。例えば、メトトレキサートは添付文書上のルールとして妊娠可能性のある患者さんには絶対禁忌となっており、妊娠前の服用中止が推奨されています。しかし、少数例の偶発的統計では、妊娠判明時(妊娠数週)まで服用していても、奇形の発生確率を高めないとの報告もあります。とは言え、少なくとも、胎児の奇形リスクにかかわる妊娠4~16週では催奇形性を有する薬剤の体内濃度はゼロにしておく必要があります。これに該当する薬剤が、メトトレキサート(リウマトレックスなど)とレフルノミド(アラバなど)です。反対に、妊娠中の投与について絶対禁忌とされていない治療薬がスルファサラジン(アザルフィジンなど)です。副腎皮質ステロイドホルモンについては、胎盤透過性の比較的少ない(約10%)プレドニゾロンを使います。

生物学的製剤についてはどうでしょうか?添付文書上は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ生物学的製剤の投与が可能(慎重投与)とされていますが、開発後の市販実績の多い抗TNFα製剤を使用することが多いのが現状です。
関節リウマチ治療中または治療開始予定の患者さんで妊娠を希望する患者さんに対しては、妊娠に至るまでの治療計画が必要です。「いつ」妊娠したいのか、ご自身の希望を治療担当医にはっきり伝えるようにしてください。担当医が妊娠希望患者さんの治療計画を立てる上でのポイントは「妊娠希望期限までにメトトレキサートやレフルノミドを使用しない状況下で寛解状態に導入すること」です。

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