ムナクリ通信

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太りすぎのダイエット(食事)について~その3~2015.11.01

食事時間の重要性

食事時間の重要性

 食事は人体運動へのエネルギー源の供給ですから、運動をしないで食事を続ければ当然太ってきます。一方、人体は飢餓状態を想定した危機管理機能も備えており、脂肪を蓄え、飢餓に備えます。つまり、肥満の背景には「運動不足」と「飢餓状態への危機管理」の二つの側面が考えられるのです。夜(午後9時以降)の食事について考えてみましょう。

1) 運動不足
 日々の運動は大切ですが、運動による消費カロリーは意外に少ないため(例えば、30分程度のウォーキングでは100Cal程度の消費になります)、継続が大切です。そこで、大切なのが基礎代謝のアップにつながる運動の継続です。「基礎代謝」とは何もせずじっとしていても、生命活動を維持するために 生体で自動的に(生理的に)行われている活動で必要なエネルギーのことです。「基礎代謝」については次回のムナクリ通信で解説の予定です。体を休める時間に食事を摂って基礎代謝量を上回ってしまえば、エネルギーの消費が行われない分、過剰なエネルギーは体脂肪に変換され蓄積してゆきます。
2) 飢餓状態への危機管理
 人間の体には摂取エネルギーを「体脂肪」として蓄える仕組みがあります。この仕組みは一通りではなく、何種類かの機構があるようです。
 本来就寝すべき時間に起きて、食事をすると「グレリン」という食欲促進ホルモンの働きが増してしまいます。グレリンには体脂肪蓄積作用(体脂肪利用抑制作用)があるため、太りやすくなってしまいます。また、「Brain-Muscle Arnt Like Protein 1(BMAL1)」というタンパク質も注目されています。このBMAL1(ビーマルワン)は体内時計の役割を果たすタンパク質と考えられており、一日の中で細胞内産生量が時計のように変動します。BMAL1は体脂質の蓄積を増加させ、肝臓、筋肉では体脂肪燃焼を抑制することがわかっています。つまりBMAL1が多ければ、体脂肪が蓄積されるわけです。脂肪細胞内のBMAL1量は、午後10時から午前2時までの間が最も多い時間帯となり、その後、次第に減少し、午前6時前後から急速に減少し午後2時頃には最低になることがわかっています。このため、BMAL1が多い夜遅くの時間帯に食事をすることで、太りやすくなる可能性があると考えられています。

夜遅くの食事摂取は健康にとって良くない事であるのは間違いないようです。私も、生活が不規則で夜の食事が23時以降になることが多々ありました。運動しても、カロリー制限してもなかなか内臓脂肪が落ちなかった経験があります。この時、BMAL1の作用を念頭に、夕食を午後7時に移動しました(家から夕食用の弁当を職場に持参するようにしました)。その効果はすぐにあらわれて内臓脂肪が減少してきました。食事時間の重要性を実感しています。

(次回に続きます)

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